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シャープの社員販売の目的は…


給料袋イメージシャープ株式会社が、「取締役や執行役員には20万円、管理職には10万円、一般社員には5万円の目標金額を設定して家電製品を特別価格で販売したうえで、購入額の2%を還元する」というニュースが流れました。

この動きの目的はどこにあるのかを、有価証券報告書(有報)をもとに検証してみましょう。

まず、役員や管理職に比べて一般社員の人数が多いこと、またぴったり5万円で購入するのも難しいであろうことを考慮して、社員一人あたりの平均購入金額を7万円と置きましょう。
それに従業員数17,529人を掛けると、約12億2,700万円。これから2%の還元額2,500万円弱を差し引くと、これによって上がる売上は約12億円。
有価証券報告書によると、昨年の売上原価率は約86%(注)。
つまり、86円で作ったものを100円で売っていることになるので、12億円の売上からは、10億円強の原価(の回収)と2億円弱の粗利益となります。

では、この事実がどのようなメリットを決算書にもたらすのでしょうか。

まず損益計算書から考えてみましょう。
昨年の同社(連結グループ)の売上高、2兆7,800億円、売上原価2兆4,000億円、から考えると、12億円の売上は微々たる金額であり、これが一番の目的とは考えにくいでしょう。
つぎに貸借対照表から見てみると、資金面では現金預金の期末残高2,585億円、棚卸資産(商品)の期末残高3,383億円から考えると、10億円の商品を12億円の現金にしたということは、そんなには大きくありません。
こうしてみていくと、今回の動きが、経済的には同社の業績回復に向けての決定打になる動きではないことは確かでしょう。
管理職や役員の目標はこれよりも高いのですが、人数が少ないことを考えると、全体的な金額のインパクトが大きく変わる訳でもなさそうです。

では、どうしてこのような動きをしたのかを考えると、社員に向けて「自社の製品を使って、その良さをわかってくれ!」という思いがあったのではないかと思われます。
今後の復活に向けての動きに注目していきましょう。

(注) 売上原価率=売上原価÷売上高

ネットスクール株式会社 桑原知之)

シャープ株式会社
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